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短絡的な交通法規

韓国ドライバーも理解に苦しむ「30-50」ルールとは?

日本より少ない人口と狭い国土を持つ韓国では、自動車保有率は日本と同水準を占めており、自動車がより多くの国民の生活に浸透しています。
そんな韓国にはたくさんの自動車法規が制定されていますが、その中には韓国のドライバーでも理解できないものが存在します。
30-50ルールもその一つではないでしょうか。

30-50というのは、2022年4月に施工された新しいルールです。
都心部における最高速度は時速50キロまでに抑え、裏道や住宅街などでは時速30キロに制限するというルールで、これは自動車の走行スピードを落とすことで死亡事故を減らそうという考えに基づいています。

このルールだけを見ると、とても良識的な法律だと考える人は多いかもしれません。
しかしこのルールの中には、その時の交通量や道路状況、車の流れなど状況的な要素は一切含まれておらず、考慮もされていません。
この点が、多くの韓国ドライバーが苦しんでいる理由となっています。

ドライバーからの不満が続出

韓国のドライバーは、この30-50ルールに対して不満を持つ人が少なくありません。
例えば都市部における最高速度が時速50キロまでというルールを考えてみましょう。
朝と夕方など交通量が多い時間帯なら、このルールを適用することによって車の走行スピードを抑えられますし、交通事故を減らすことに貢献できるでしょう。

しかし、交通量がほとんどない夜間や深夜、早朝の時間帯の場合には、時速50キロというのは現実的ではありません。
しかし30-50ルールでは、時間帯や曜日などの制限や条件が一切ついておらず、無条件に50キロを制限速度としています。
そのため、ガラガラに空いている都心部の4車線道路を走行するドライバーにとっては、とても非現実的なルールだと感じることが多いのです。

この30-50ルールは一般道路のみに適用されるルールのため、高速道路へは適用されません。
しかし韓国ドライバーの多くは高速道路の速度制限に対して不満を持っており、30-50ルールでは高速道路への不満を解消することはできません。
韓国の高速道路は、場所によって速度制限が大きく異なっており、時速80キロの区間もあれば、突然時速30キロになったり、また高速道路なのに時速20キロという速度制限が設けられている区間もあります。
一貫性がなく、適正な理由も理解しがたい区間ごとの速度制限に対して多くのドライバーが改善を求めていますが、スピード違反による税収確保という当局の目的があるため、なかなか改善には至っていません。

韓国では今後も、試行錯誤しながら道路法規が見直されていくことでしょう。
その中でドライバーの声や道路事情も取り入れながら、より多くのドライバーが安全で満足できる法規を制定することが求められています。